本当に受験生より先に、採点の事業者が問題をそして答えを知ってしまうのでしょうか。
「大学入学共通テスト」については、民間試験が延期され、まだまだ流動的な印象が否めない昨今です。気になることの一つは、採点方法について。
採点は、ベネッセの関連会社(学力評価研究機構)が落札し、1万人の人出で採点業務を行う見通しです。その1万人とはどんな人?というと、アルバイトが採点する大学共通試験記述式・・それでいいの?にもあるように、学生を含めたアルバイトの人が行うであろうと予想されています。
アルバイトか否かは、とりあえず置いておいたとして、そこで問題は・・・
採点担当者は、『試験の本番よりも先に問題をその答えを知りうる』ということをNHKが報道しました。
そこにはベネッセの関連会社が試験を実施する前に、正答例や採点基準の作成に関与すると明記されていました。
つまり、民間事業者は、試験前から問題と正答例が知らされる立場にあるということです。
大学入試センターは、こうした方法でなければ、20日間という短期間で大量の採点を行うことはできないとしたうえで、守秘義務などを厳守してもらうことで、問題の漏えいなどを防ぎたいとしています。
(11月12日 NHK NEWS WEB)
NHKは大学入試センターによる「仕様書」と呼ばれる資料を手に入れたとのこと。その上での上記の記事です。
採点者1万人の皆が、知りうるのではないでしょう。しかし、事業者が知りうるということは、誰かは知りうるということ。
担当する人に守秘義務が生じるのは当然ですが、仮に1万人の人が募集されて採点を担当するとしたら、その1万人が皆、厳格に守秘義務を守りうるのか・・ 問題の漏えいが起きないとは誰も保証できないかもしれません。
疑心暗鬼になっては切りのない話です。しかし、NHKのニュースでも指摘しているのは、落札した業者は教育産業の関連会社であること。
50万人もの受験生が向かい合う試験問題に、万が一、万が一、漏洩などあったら、それはまさに国家規模の問題となることでしょう。
センター試験元出題者としては、これほど人を愚弄する話もない。
駒場東大前のあの建物から事前に漏れ出てしまわないように、どれだけの手立てがとられてきたと思っているのか。https://t.co/U0X9nZBWiJ
— 国立研究開発法人原田知世研究機構 (@norinori1968) November 12, 2019
もっとも過剰な懸念は無用かもしれません。これまで同じように多数の受験生がのぞむセンター試験が無事に行われてきたのですから。ーーと断言したいのですが、どうなることでしょう。
センター試験と新たな大学入学共通テストとの違いは、やはり記述式の採用とそこに派生する諸問題にもあるように見えます。
追記:学力評価研究機構とは、なんと無機質というか、カラーが見えない企業名でしょうか。当然なのですが。