大学入学共通テストについて、国語では記述式が導入されることが決まっています。そこで「アルバイトが採点」という表現は少々、キャッチコピー的な言い回しかもしれません。しかし、事実、採点業務にアルバイトが採用される(ケースもある)ことは明言されています。
採点というのが業務であり、その業務をベネッセグループの子会社が落札しました。金額は61億6000万円です。
大学入学試験から、2次試験が始まるまでのおよそ20日間で採点するためには、採点者の数はおよそ1万人くらい必要になるそうです。
受験者はおよそ50万人。そして採点者が1万人。
1万人もの人を集めて採点業務とはまた膨大な事業です。しかしベネッセグループ子会社が常時1万人の社員を準備しておくというのは、素人から考えても、たしかに、少々無理がある気がします。
5日の国会審議でベネッセ側は、野党からの「採点者はアルバイトを採用する予定か?」との追及に
「アルバイトという方も当然いらっしゃる」と答えている。
(11月7日AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
アルバイトという言葉にこだわりすぎてはいけないでしょう。
しかし、18歳の高校生らが、生涯を大きく左右する試験問題にのぞみ、その採点が学生の可能性もあるアルバイト・・・というのは、
少々、情けないという気もします。採点者を募集する段階で「質」をどれくらい担保できるでしょうか?
採点するアルバイトを採用するための試験・・などという話になると、笑えない話です。
ご存知ののように、2019年11月に、英語の民間試験導入延期が決定されました。英語に加えて国語でも問題が多々あることは、従来から指摘されてきたわけですが、このまま放置されるとは、むしろ考えにくい状況。
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もう一つの問題点は、記述式で自分がどのように解答したか、書いた本人が、記憶(記録)しきれない場合に、自己採点がたいへん難しくなります。
さらに言えば、自分は「こう書いたつもり」でも採点者にそのように読まれるとは限らないかもしれません。
記述式とは、言うまでもなく自筆の文字。もちろん、国立大学二次試験を思い浮かべれば万事、みずから自筆で解答するのが当たり前ではあります。しかし、そのような大学入試には、問題作成から採点、合格発表にいたるまで、各大学の総力を上げて確実なノウハウが積み重ねられているはず。
外部委託で、臨時に雇われたアルバイトの人が採点するという事態を、図式的に揶揄するだけでは解決しません。しかしやはり、そこにはこだわってしまします。